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「遺留分」とは,被相続人が相続人に対して最低限残さなくてはならない遺産のことをいいます。簡単にいいますと,相続人は,最低限もらえる遺産があるということです。
例えば,甲には配偶者乙と子供丙と丁がいたとします。甲が遺言で,「全財産を丙に相続させる」と遺言をした場合でも,乙と丁は法律で決められている遺留分をもらうことができるのです。
もっとも,何もしなくても遺留分がもらえるわけではありません。遺留分をもらうためには,遺留分を取り戻す権利を行使することが必要です。これを「遺留分侵害額請求権」といいます。
「遺留分侵害額請求権」には,時効というものがありまして,「相続開始及び遺留分が侵害されていることを知ってから1年以内,相続開始後10年以内に権利を主張」しなければ,主張できなくなってしまいます。
遺留分の請求を受けた場合、以前は、不動産であれば自動的に共有状態になる(物権的効果)など強力な効力が認められていました。
しかし、会社で使用している不動産が共有になると事業承継に支障をきたしたり、共有の解消が困難になるなどの弊害がありました。
そこで、民法が改正され、「お金の支払いで解決しましょう」ということになり、現在は、遺留分侵害額請求がなされた場合はお金で解決するということになっています。
もっとも、お金がなく支払えない場合に、不動産などの物で代わりに支払うという代物弁済は認められいます。しかし、この場合、遺留分侵害額の支払いを免れているため、有償での譲渡であると捉えられ、「譲渡所得税」が課税されるとされています。また、譲受人側には、不動産取得税が課税されるとされています。
(遺留分侵害額の請求)
第千四十六条 遺留分権利者及びその承継人は、受遺者(特定財産承継遺言により財産を承継し又は相続分の指定を受けた相続人を含む。以下この章において同じ。)又は受贈者に対し、遺留分侵害額に相当する金銭の支払を請求することができる。
① 配偶者
② 直系卑属(子供,孫)
③ 直系尊属(父母,祖父)
※ 兄弟姉妹には,遺留分は認められない
遺留分の権利を有する人を「遺留分権利者」といいます。これに該当するのは、配偶者、直系卑属(子供,孫),直系尊属(父母,祖父母)だけです。
被相続人の兄弟姉妹は該当しません。被相続人夫婦に子どもがおらず,被相続人の父母もすでに他界している場合は,配偶者に加えて,被相続人の兄弟姉妹も相続人になることができます。しかし,この場合でも被相続人の兄弟姉妹に遺留分は生じません。
【配偶者又は直系卑属(子供,孫)が相続人の場合】
2分の1 × 各自の法定相続分 = 個別的遺留分
【直系尊属(父母,祖父母)のみが相続人の場合】
3分の1 × 各自の法定相続分 = 個別的遺留分
被相続人の配偶者または直系卑属(子ども,孫)が相続人になる場合の遺留分は2分の1,被相続人の直系尊属(父母,祖父母)のみが相続人である場合の遺留分は3分の1の割合となります。
そして,この割合を相続人全員が法定相続分に従って分割した割合が,相続人の「個別的遺留分」です。
【配偶者又は直系卑属(子供,孫)が相続人の場合】
例えば,甲には,配偶者乙と子供丙と丁がおり,甲は,「全財産を丙に相続させる」と遺言を残して死亡したとします。この場合,甲の遺産は9,000万円だとします。甲の死亡による相続人は,配偶者乙と子供丙と丁です。つまり,【配偶者又は直系卑属が相続人の場合】に該当しますので,相続人全員の遺留分の割合は2分の1となります。そして,配偶者乙の法定相続分は2分の1で,子供丙と丁の法定相続分はそれぞれ4分の1です。
したがって,
<配偶者乙の個別的遺留分>
2分の1(遺留分の割合) × 2分の1(法定相続分) = 4分の1
9,000万円(相続財産) × 4分の1(個別的遺留分)= 2,250万円
配偶者乙の個別的遺留分は,2,250万円ですので,甲が遺言で「全財産を丙に相続させる」といっても,乙は,「私には,2,250万円もらえる権利がある」と主張することができます。
<子供丙と丁のそれぞれの個別的遺留分>
2分の1(遺留分の割合) × 4分の1(法定相続分) = 8分の1
9,000万円(相続財産) × 8分の1(法定相続分) = 1,125万円
子供丙と丁のそれぞれの個別的遺留分は,1,125万円ですので,甲が遺言で「全財産を丙に相続させる」といっても,丁は,「自分には1,125万円もらえる権利がある」と主張することができます。
【直系尊属(父母,祖父母)のみが相続人の場合】
例えば,甲には,配偶者も子供もいないのだが,両親AとBがいるが,「生前からお世話になっていた身内ではないCに,全財産を譲り渡す」と遺言を残して死亡したとします。この場合,甲の遺産は9,000万円だとします。甲の死亡による相続人は,両親のAとBだけです。つまり,【直系尊属(父母,祖父母)のみが相続人の場合】に該当しますので,相続人全員の遺留分の割合は3分の1となります。そして,相続人は,両親しかいませんから,AとBの法定相続分は,それぞれ2分の1です。
したがって,
<両親AとBのそれぞれの個別的遺留分>
3分の1(遺留分の割合) × 2分の1(法定相続分) = 6分の1
9,000万円(相続財産) × 6分の1(個別的遺留分)= 1,500万円
両親AとBのそれぞれの個別的遺留分は,1,500万円ですので,甲が遺言で「全財産をCに譲り渡す」といっても,AとBは,Cに対して,「私には,1,500万円もらえる権利がある」と主張することができます。
このように,ある特定の相続人等に遺産の全てを残したいと思っても,遺留分を主張されてしまう場合があります。
したがって,ある特定の相続人等に遺産を残したいとお考えの場合,できる限り,生前に遺産を受け継ぐ権利がある者たちと話し合いができるのであればしておくべきだと思います。また,遺留分に配慮した形で,遺産を残すように手続きを進めておくべきです。
遺留分がいくらあるのかを計算するにあたって,その基となる相続財産がいくらなのかを知る必要があります。
相続スタート時点で存在する財産
生前,被相続人が相続開始1年以内に贈与した財産
※ 相続開始1年以上経っている贈与は,贈与の当事者双方が遺留分権利者に侵害を加えることを知っていながらなされた場合に,「持ち戻し」となります。
※ 相続人に対する贈与の「持ち戻し」には,制限がありません。
相続財務
遺留分算定の基礎となる財産
遺留分算定の基礎となる財産は,相続がスタートした時点で存在する財産に,被相続人が相続開始1年以内に生前贈与した財産を加えて,これから相続債務を差し引いたものとなります。
被相続人が相続開始1年以内に生前贈与した財産を加えることを「持ち戻し」といいます。これは,全ての財産を贈与した場合に遺留分がなくなってしまうことを防ぐためです。
遺留分は放棄することができますが,相続の開始前に放棄をする場合は,家庭裁判所の許可が必要です。遺留分の放棄を無制限に許すと,被相続人の圧迫によって遺留分権利者が遺留分を予め放棄するように強要されるおそれがあるからです。
一方,相続の開始後は,自由に放棄することができます。
また,遺留分を放棄した場合でも,他の各共同相続人の個別的遺留分には影響は及びません。つまり,他の共同相続人の個別的遺留分が増えるわけではないということです。
相続の放棄 | 遺留分の放棄 | |
---|---|---|
相続開始前 | 放棄できない | 家庭裁判所の許可が必要 |
相続開始後 | 自己のために相続があったことを知ったときから3か月以内にしなければならない |
自由に放棄が可能 |
効果 | 初めから相続人ではなかったことになるので,他の相続人の相続分が増加する | 他の各共同相続人の遺留分には影響しない |
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